Interfaith Pilgrimage of The Middle Passage
諸宗教合同
「共に祈る中間航路の巡礼」



Art by: Tom Feelings

−奴隷の歴史をたどる−
北米−カリブ海−ブラジル−西アフリカ−南アメリカ
1998年6月−1999年6月


「歴史を知らなければ、そこから学ぶことはできません。諸宗教合同、共に祈る中間航路の巡礼は、奴隷制度が当然のように行われていた頃の事実を直視し、今日の私たち自身の態度と偏見を検証するためのよい機会となるでしょう。」

デズモンド・ツツ大司教

私たち黒人にも魂がある。
それは、永い間捕らわれの身であった傷に、苦しみ、うめいている。

私たち黒人にも魂がある。
それは自由と平等、正義にあこがれ、求めている。

憤った私たちは、ついに立ち上がり、
隷属、不平等、不正義の悪の鎖に立ち向かっていく。

すべてのものに、愛と正義、平和の剣を、
永遠に、かざし続けながら。

ジンバブエ大統領
R.G.ムカベ
「マーチン・ルサー・キング牧師に捧ぐ」(1983年11月12日)より

「諸宗教合同、共に祈る中間航路の巡礼」
−奴隷の軌跡をたどる行進−
1998年6月−1999年6月

この巡礼は、奴隷制によって切り裂かれたアフリカの民に対し、全身全霊を込めて祈りを捧げる旅です。奴隷制とその抑圧の忌まわしい歴史をしっかりと受け止めることで、巡礼が、今日もなお、うずく傷の癒しになり、この歴史に深くあるいは浅く関わる人々の心を清めていく一助となることを願います。アメリカ合衆国とカリブ海諸国では、奴隷競売場、奴隷置き場、リンチ場などの場所を訪れ、そこで苦しみ、死んでいった人々の魂に祈りを捧げます。また、アメリカ北部やカナダに奴隷を逃がした地下鉄道組織の途中通過点を訪れ、当時の奴隷制や人種的抑圧に対して、自由と人間の尊厳を守るために尽力した勇気と信念の人々が存在したことを確かめます。このような奴隷の歴史をたどって歩きながら、真の良心というものの種をはぐくんでいきましょう。来たるべき次の世紀が、人間的で、慈しみと思いやりに満ちた平等な世界になるよう、人種差別が私たちの心を苦しめず、人間の精神が解き放たれて、偉大な真理の中で育っていく世界になるよう願い、歩きましょう。

「大西洋をまたにかけた奴隷貿易時代のアフリカ人ほど、長く苦しい試練にさらされた民族もあるまい。アメリカの南北戦争(1861−65)まで約4百回間続いた奴隷貿易によっておびただしい数のアフリカ人男女、子供までもがその地からひきはがされ船に積み込まれ、新世界と呼ばれていたアメリカへと送られて、離散した。今となっては犠牲者の数を調べるよしもないが、三角奴隷貿易でおよそ3千万人から6千万人のアフリカ人が連れ去られ、そのうち生き残ったのは、わずか3分の1であったと言われている。三角奴隷貿易とは、その名の通り、ヨーロッパから出港した船がアフリカに立ち寄ってアフリカ人を捕らえ、アメリカ新世界まで航海を続けてそこで人間の積み荷を降し、また元のヨーロッパの出港地へと戻っていった貿易航路に由来する。中間航路とは、アフリカで人間を乗せた船が南北アメリカ、カリブ海諸国まで航海した部分を指す。それは三角奴隷貿易の中で、最も残酷で苦しい部分であり、現在もそれによって私たちが受けた痛手は残っている。

ジョン・ヘンリック・クラーク博士
中間航路(トム・フィーリングズ著)の序文より


巡礼の目的

1) 私たちより先に生きたアフリカの血を引く人々の魂に祈りを捧げ、白人の手による憎しみと不正義に苦しんだ彼らとその末裔を賛え、抑圧した人々の魂もまた私たちの祈りを必要としていることに気づく。
2) この恐ろしい歴史に影響を受けているすべての人々に門戸を開き、特にヨーロッパ人の末裔がこの歴史に対して責任を取り、西洋文明の民として罪をあがなう機会を作る。贖罪は人間本来にとって癒しとなる必要なもので、特にアメリカ合衆国のように人種差別にまみれた歴史を抱える国では、かたくなに人種差別を行い続ける社会の意識の元である防御心、否定、恐れを解きほぐす力がある。
3) 三角奴隷貿易の航路を逆に東のアフリカへとたどることで、かつて略奪されたアフリカの人々とその地の資源に敬意を表し、光栄を返す。広大でさまざまに異なる人と土地を抱えてきたアフリカ大陸の偉大さに感謝して敬う。何世紀にもおよんだ植民地支配の荒廃から、アフリカは必ずよみがえると信じる。
4) 巡礼参加者、支援者、共同体に、奴隷制度についての教育をさまざまなレベルで行っていく。このようにして真実の歴史を知ることから、現在のグローバルな地域、共同体のあり方を作っていく。
5) 西洋諸国の物質欲やぜいたく、さらに人間をただのモノにおとしめて売買し、利益のためにはいとも簡単に殺してしまうことは、人間が持っている深淵かつ気高い精神性をないがしろにするので、そのような考え方を変えていく。物質欲に侵された今日の国々では、その国内外の諸政策によって、多くの有色人種を貧困に追いやっている。それはアメリカのような富める国においても然りである。その政策のために、太古の時代から人類が培ってきた、人間に生まれながらにしてそなわっている精神性の土台が崩れていく一方で、生き残るためには手段を選んでいられない状況になっている。私たちは、次世紀にむけて、人間の内にある宝のような精神性をしっかりと確かめて敬い、この暴力的な物質文明を変える正しい力の真の源泉を見極めて大切にしていかなければならない。

「文明とは、電灯のつくことでもない。飛行機のあることでもない。原子爆弾を製造することでもない。
文明とは、人を殺さぬことであり、物を壊さぬことであり、相互に親しむことであり、相互に敬うことである。」

日本山妙法寺山主 藤井 日達聖人の言葉


巡礼への参加条件

巡礼参加者には、一律に以下の事項を守ることが求められます。

1)  諸宗教合同の共に祈りを捧げる朝と夕の礼拝に出ること。
2)  酒、タバコ、薬物一切、武器を断つことを厳守すること。
3)  現地と各地域でのオーガナイザーたちの支持に従うこと。

   この巡礼への参加費は無料ですが、各参加者が
   自分の渡航、その他の個人的な必要資金・経費を負担します。

   巡礼中の船やその他の移動手段の費用については、
   まだ考慮中ですが、この巡礼の姿勢としては、
   経済的理由によって参加がはばまれないことを望みます。
   金銭に関しては、問い合わせに応じて詳細な情報をお送りいたします。

共に歩めば
同じ大地が触れ
同じ太陽が照り
同じ雨が身をさらす。

起こり来る喜びと困難を共にし
その困難が我々をはばまないようにしよう。

歩く中で、人間の精神性を錬え
歴史の悪循環を真の平和社会に変えよう。

その精神力が自然界と人間本来の
やさしさによってはぐぐまれるように。


巡礼ルート

<アメリカ>
マサチューセッツ州レベレット('98/3/31)〜
スプリングフィールド〜ボストン(6/6)〜ロードアイランド州プロビデンス(6/11)〜ニューポート〜コネチカット州ニューヘブン(6/19)〜ニューヨーク州ニューヨーク(6/25)〜
ニュージャージー州トレントン〜ペンシルバニア州フィラデルフィア(7/3)〜メリーランド州ボルチモア〜ワシントン(7/13)〜バージニア州リッチモンド(7/22)〜ノーフォーク〜ノースカロライナ州ローリー〜ダラム(8/9)〜ウィンストンセーラム〜シャーロット〜(8/21)〜サウスカロライナ州コロンビア(8/28)〜チャールストン(9/13)〜ジョージア州アトランタ(9/20)〜アラバマ州モントゴメリ(10/10)〜モービル〜ミシシッピ州ビロクシー〜ルイジアナ州ニューオーリンズ(11/3)…
<カリブ海諸島>
…航路(キューバ〜ジャマイカ〜ハイチ〜ドミニカ〜プエルトリコ〜バージン諸島〜バルバドス〜トリニダード・ドバゴ)…
<南アメリカ>
ブラジル、レシフェ('98/12)
<アフリカ>
セネガル、ダカール('99/1)〜ガンビア〜ギニアビサオ〜ギニア〜シエラレオネ〜リベリア〜コートジボアール〜ガーナ〜トーゴ〜ベナン〜ナイジェリア〜カメルーン〜赤道ギアナ〜ガボン〜コンゴ〜アンゴラ〜南アフリカ、ケープタウン('99/6)

連絡先:
The Interfaith Pilgrimage of the Middle Passage
c/o First Congregational Church, Room 11 165 Main Street, Amherst, MA 01002
+1-413-256-6698nterfaith Pilgrimage Of The Middle Passage


Return